特集記事01

「ゼタバイト時代」の到来に備えるシスコの次世代インターネット戦略

〜サービスプロバイダーが直面する
  トラフィックの急増とユーザ ニーズの変化に応えるために〜

2011年6月28日、シスコは「次世代インターネットエクスペリエンスに関する説明会」をシスコ東京本社で開催した。この中でシスコは、2015年までのインターネット トラフィックの動向とユーザ ニーズの変化について説明した上で、サービスプロバイダーの事業が大きな転換期に入りつつあることを指摘。この変化に対応するには、現在NGNの次のネットワークである「次世代インターネット」へと移行する必要があると説明した。さらに次世代インターネットを実現するためのテクノロジーと、それを実装したルータ製品も紹介。ここではこの説明会の内容を元に「次世代インターネット」の概要について紹介する。

「ゼタバイト時代」の到来を目前に
プロバイダー事業は大きな転換期へ

 2011年6月3日、米国シスコは「Cisco Visual Networking Index」の予測結果を発表した。これによるとネットワーク接続型のデバイスは2015年には150億台を超え、インターネットユーザー数も30億に達すると見込まれている。2011年の世界人口は約70億人。このうち約半分がインターネットを利用し、倍の数のデバイスが接続される計算になる。

 注目すべきなのは利用者やデバイスの増大だけではない。インターネットの利用形態も大きく変化している。

 最大の変化はインターネットビデオの利用拡大だろう。2012年にはインターネットビデオが、個人ユーザーのインターネットトラフィックのうち50%を超えると予測されている。2015年にはその割合が90%になり、毎秒100万分(674日に相当)のビデオが配信されるようになると見込まれている。

 ブロードバンドの高速化もこれに拍車をかけている。2010年の固定ブロードバンドの平均速度は7Mbps だったが、2015年には 4倍の28Mbpsに達すると見込まれている。また無線通信のスピードも上昇し続けており、2015年には無線デバイスからのトラフィックが、有線デバイスを超えると予測されている。

 このような変化に伴い、インターネットを流れるトラフィック量も急速な勢いで増大している。2015年の全世界の月間トラフィックは 81エクサバイト、年間では966エクサバイトに達すると予測されているのだ。

「VNI_Hyperconnectivity_WP」

 「10年前はテラバイトでも凄いといった感じでしたが、それが5年前にペタバイト、昨年は20エクサバイトに達しました」と言うのはシスコシステムズ合同会社副社長の堤浩幸だ。そしてこれがわずか4年後にはゼタバイトという、これまで誰も経験したことのないオーダーになると指摘する。「1エクサバイトはHDTVビデオを36,000時間続けて視聴できるトラフィック量ですが、ゼタバイトはその1,000倍です。机の上のコーヒー1杯が1ギガバイトだとすれば、1ゼタバイトは万里の長城の容積に匹敵する規模なのです」

シスコシステムズ合同会社 副社長 サービスプロバイダー事業 堤 浩幸

 堤はさらに「トラフィックが増大しているだけではなく、顧客の要求も変化しています」と指摘する。個人ユーザーはよりパーソナルな体験を求めるようになっており、ビジュアル性やソーシャル性へのニーズも高まっている。企業ユーザはより優れた生産性を求め、コラボレーションやモビリティへの要求を強める一方で、投資対効果の評価も厳しくなっている。

 急激なトラフィック増とユーザーニーズの変化は、サービスプロバイダーに大きな問題を突きつける。それはビット当たりの収益低下である。その一方でネットワークインフラの規模は拡大し、運用コストがかさむようになる。「サービスプロバイダーの事業は今、大きな転換期にさしかかっています。収益を増加させる新たなビジネスモデルの確立と、コスト削減を同時に実現することが求められているのです」

「ゼタバイト時代」の到来に備えるシスコの次世代インターネット戦略