マルチクラウド時代の最新フレームワーク「Cisco CloudVerse」がもたらす新たな世界とは

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米国シスコは2011年12月、クラウドに関する新たなフレームワーク「Cisco CloudVerse」を発表した。これはサービスプロバイダーやユーザ企業が、パブリック/プライベート/ハイブリッド クラウドを構築/管理/相互接続するために必要な要素を組み合わせ、体系化したものだ。これからのクラウド コンピューティングが必然的に向かう“マルチ クラウド”の世界への、より効率的・効果的なアプローチを可能にする。今回の特集ではこの「Cicso CloudVerse」が登場した背景と、その主要な構成要素を紹介しながら、このフレームワークがもたらす新たな世界の一端に触れてみたい。

急速に進みつつある“クラウドシフト”
体系的・包括的なアプローチが不可欠に

 インターネットの進化の方向性として、クラウド コンピューティングへの期待が高まっている。すでに企業内でプライベート クラウドを構築する動きは一般化しており、サービス プロバイダーが提供するクラウド サービスも利用が拡大している。またプライベート クラウドとパブリック クラウドを連携させたハイブリッド クラウドへの取り組みも本格化してきた。

We Live in a World of Many Clouds 複数のクラウドが連携してサービスを提供する

 米国シスコが2011年11月に発表した「Cisco Global Cloud Index (2010 - 2015)」によれば、世界のクラウド コンピューティングの年間トラフィック量はすでに130エクサバイトに達しており、今後も年平均66%の割合で増加していくという。そして2014年にはデータセンター内で発生するワークロードの50%以上がクラウドベースになり、2015年には全世界のクラウド トラフィックが、これまでの12倍以上に相当する年間1.6ゼタバイトになるという。

 このような“クラウド シフト”は、私たちのビジネスや消費者サービスに大きな変化をもたらしつつある。タブレットやスマートフォンの普及も、この動きに拍車をかけている。ITはサービスとして提供されるようになり、人々のコラボレーション方法を進化させ、コンテンツ配信のあり方を変化させていく。ITの世界はユーザにとってよりシンプルになり、新たなサービスも続々と登場することになるだろう。そして経済にも、大きなプラスのインパクトを与えることになるはずだ。

 その一方で私たちは、クラウド構築や運用管理に関する壁に直面している。クラウド技術の多くは個別に独立して存在しているため、クラウドの構築や運用管理には高度な専門知識と、それらをコーディネートするためのノウハウが不可欠だ。これがクラウドへの効果的・効率的なアプローチを妨げているのである。

 この問題を解決するには、体系的で包括的なアプローチが不可欠になる。特にサービス プロバイダーにとっては、これを抜きに今後のビジネスを展望することは難しくなるだろう。体系的で包括的なアプローチは、クラウド構築・運用管理のコスト削減に直結する。つまりコスト競争力を高めることにつながるのだ。またクラウドから複雑さを取り除くことで、より俊敏なサービス開発と提供も可能になる。ユーザが望むサービスを低コストで迅速に提供できれば、収益力をさらに高めることができる。

 そして“マルチ クラウド”への備えも忘れてはならない。単一クラウドでサービスを提供すれば事足りた時代は、もうすぐ終わりを告げることになるだろう。クラウドプロバイダーのサービスと企業内のプライベート クラウド、もしくはクラウドプロバイダー間で連携して多くのサービスを提供できる時代が到来するのだ。

 例えば企業システムのデータバックアップは、企業内のプライベート クラウドからサービス プロバイダーが提供するパブリック クラウドに対して、透過的に行われるようになるだろう。これによってユーザ企業は、ITに対する過大な投資を回避しながら、データ消失のリスクを回避できる。またビデオ ストリームのように大容量データを配信するサービスや、SNSのように莫大なユーザが頻繁にデータをやり取りするサービスでは、複数のデータセンターで負荷を分散・最適化するという取り組みも一般化していくだろう。

 このような、クラウド構築・運用管理に関する体系的かつ包括的アプローチと、マルチ クラウドへの対応を同時に実現するのが、「Cisco CloudVerse(以下、CloudVerse)」である。シスコはこれまでも「Data Center 3.0」というコンセプトを提唱し、クラウド コンピューティングをターゲットにした各種ソリューションを開発・提供し続けてきた。そしてCloudVerseの発表によって、クラウドへのコミットをさらに明確なものにしたのである。

マルチクラウド時代の最新フレームワーク「Cisco CloudVerse」がもたらす新たな世界とは