サービスプロバイダーWi-Fiの可能性を探る 〜トラフィック オフロードの先にあるものとは〜

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サービスプロバイダーによるWi-Fiの活用が、急速な勢いで世界的に広がりつつある。モバイル環境におけるユーザー体験の向上をリーズナブルな料金体系で実現するには、この取り組みは避けて通れないものだといえるだろう。しかしこれをトラフィック オフロードの手段のみとして位置付けるのは、決して賢明ではない。従来のモバイル通信網とWi-Fiを統合すれば、新たな収益源を確保できるようになるからだ。ここでは単なるオフロードを超えた、サービスプロバイダーWi-Fi(公衆無線LAN) の可能性を探っていきたい。

もはや避けて通れないWi-Fiへのトラフィックオフロード
課題はそれをいかにして収益化するか

 モバイル データがここ数年、急速な勢いで増大している。2012年2月にアップデートされた「Cisco Visual Networking Index(VNI)」によれば、2011年における全世界のモバイル データ トラフィックは前年比2.3倍となり、4年連続で2倍以上の増加となった。要因は大きく2つあると考えられる。1つはスマートフォンに代表される携帯端末の増大。もう1つはモバイルにおけるビデオ トラフィックの増大だ。

 モバイル データ トラフィックの増大は今後も、以下のグラフのように急ピッチで進むと予想されている。2016年には2011年の18倍、月間10.8エクサバイトに達すると見込まれている。

Cisco Visual Networking Index 全世界のモバイルデータトラフィックの予測、2011〜2016年アップデート

 モバイル データ トラフィックの急増は、サービス プロバイダー(キャリア)の経営にも大きなインパクトを与え始めている。トラフィック増大に対応するには設備の増強が不可欠だ。しかしそのコストを捻出するだけの収益増大を、従来のビジネスモデルだけで得ることは難しい。

 

 このような課題に対し、サービスプロバイダーの多くは、Wi-Fi(無線LAN)によるトラフィックのオフロードに着手し始めている。これまでモバイル通信網(2G/3G/4G)が担ってきたトラフィックをWi-Fiへと逃がすことで、モバイル通信網に対する追加投資を抑制しようとしているのだ。Wi-Fiへのトラフィック オフロードは、今後すべてのキャリアにとって、避けて通れない道になるだろう。理由はモバイル通信網への追加投資が抑制できるからだけではない。

 まず第1に、モバイル通信網に利用できる電波帯域は限られており、キャリア間の奪い合いは今後さらに激しくなると予測される。Wi-Fiへのオフロードは、この問題を回避するための1つの手段になり得る。

 第2に通信品質が向上する。一般にWi-Fiはモバイル通信網に比べて通信スピードが高い。高品質なビデオ配信も低コストで実現が可能だ。またアクセスポイント毎のカバーエリアが狭いため、フェムトセルと同様のメリットも享受できる。現在のモバイル トラフィックのほとんどは、家庭や職場など、屋内で発生している。このような利用形態への対応は、マクロセルには適していない。

 そして第3に、現在提供されているモバイル端末のほとんどに、Wi-Fiへの接続機能が実装されている。Wi-Fiには、大きな市場にアプローチできるポテンシャルがあるのだ。

 しかしその一方で課題も残っている。Wi-Fi経由のトラフィックを、具体的にどのような形で新たな収益に結びつけていくのか、この問いに対する答えが未だに見えにくいことである。

 この課題を解決する最も効果的な方法は、モバイル通信網とWi-Fiとのシームレスな統合だ。そのためには以下の3つの要素が必要になる。

  • 1. モバイル パケット コアへのWi-Fiトラフィック収容
  • 2. 次世代ホットスポット(NGH)への移行
  • 3. アクセスポイントのインテリジェント化 

 それではこれらによってどのような世界が拓けるのか、俯瞰していこう。

サービスプロバイダーWi-Fiの可能性を探る 〜トラフィック オフロードの先にあるものとは〜