NBCがロンドン五輪で示した新たなビデオ体験 〜Cisco Videoscapeが可能にした次世代ビデオ配信サービス〜

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夏冬合わせて2年に1度開催されるオリンピック。そこはアスリート達の戦いの場であると同時に、新たなテクノロジーやサービスの大規模なショーケースにもなっている。2012年に開催されたロンドン五輪でも、注目すべき取り組みが行われた。米国の3大ネットワークのひとつであるNBCとシスコの協業で実現された、Videoscapeによる次世代ビデオ配信サービスだ。ここではその概要を紹介した上で、これがサービスプロバイダーに新たなビジネスチャンスをもたらすものであることを示したい。

拡張されたVideoscapeをロンドン五輪でフル活用
新たなコンテンツ配信で史上最高の成果を達成

 17日間にわたる熱戦を繰り広げ、数多くのドラマを人々の心に刻みつけたロンドン五輪。ここで新たな次世代のビデオ体験を具現化したサービスが、米NBCによって提供されていたことをご存じだろうか。

 NBCといえば五輪関連の番組で91ものエミー賞に輝き、2008年の北京大会でもピーボディ賞を獲得したことでも知られている。北京大会の放送では視聴者数が2億1500万人に達した。そのNBCがロンドン五輪では、従来とは全く異なるビデオ配信サービスを米国の視聴者向けに提供。これによって五輪史上最高の成果を実現していたのだ。視聴者数は北京五輪を超える2億1940万人を達成。配信されたコンテンツの総時間は5535時間に達し、アトランタ・シドニー・アテネ・北京の4大会合計を超える結果となった。そして視聴率も北京大会を超える記録をマークしたのである。

 その基盤となったのが、シスコのVideoscapeだ。これはデジタルTVやオンラインコンテンツ、ソーシャルメディア、コミュニケーション アプリケーションを一体化して提供するための、サービスプロバイダー向けの包括的なビデオ配信プラットフォームである。2012年1月に開催された家電製品トレードショウ「CES 2012」では、「Video in the Cloud」関連の新たな機器が多数発表されており、より完全な形で、ライブビデオやオンデマンドビデオをあらゆる機器に配信できるようになった。多様なコンポーネントを連携させることで、クラウドとクライアント、そして両者をつなぐネットワークが、一体となっているのが大きな特徴だ。

Video Strategy Accelerates the Market Transition

 このようなプラットフォームが必要とされる背景には、ビデオ配信サービスに対するユーザニーズの多様化がある。スマートフォンやタブレットなど、ビデオ対応のスマートデバイスは急速に増えている。これに伴いユーザも、テレビ放送やセットトップボックス(STB)で配信されたコンテンツをテレビ画面で見るだけではなく、スマートフォンやタブレットでも鑑賞したいと考えるようになってきたのだ。

 もちろんスマートデバイスで鑑賞できるコンテンツはインターネット経由で配信されており、すでに多くのユーザはこれらを楽しんだ経験を持っている。しかしテレビに配信される"マネージドコンテンツ"と、IPネットワーク上で配信される"アンマネージドコンテンツ"は、配信ネットワークが分断されている。ユーザはどちらのコンテンツを利用するかによってデバイスを使い分ける必要があり、これが利便性を損ねる結果になっているのである。

 拡張されたVideoscapeをフル活用することで、この問題は根本から解決する。その世界初のショーケースとなったのが、NBCによるロンドン五輪のコンテンツ配信なのだ。これが実現されたのは、CESにおけるVideoscapeの拡張発表からわずか175日後。このスピード実装も注目に値するといえるだろう。

 それでは実際にNBCは、ロンドン五輪のコンテンツをどのような方法で配信し、いかなる体験をもたらしたのだろうか。

NBCがロンドン五輪で示した新たなビデオ体験