クローズアップ

座談会参加者(敬称略)

プロフィール紹介

  • 川村 聖一
    NECビッグローブ株式会社
  • 松崎 吉伸
    株式会社インターネットイニシアティブ (IIJ)
  • マーク タウンズレー
    シスコフェロー
  • オーレ トロアン
    シスコ テクニカルリーダー
  • 土屋 師子生
    シスコジャパン

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IPv6座談会ダイジェスト:世界各国におけるIPv6の普及状況とその背景

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World IPv6 Launchから早くも1年。先日、東京・六本木のシスコオフィスで、IPv6の現状をテーマにした座談会が行われた。参加者は、NECビッグローブのシステム開発主任である一方でJANOG会長も務める川村聖一氏、IIJのシニアエンジニアでAPOPSの共同会長も務める松崎吉伸氏、シスコフェローのマーク タウンズレー(Mark Townsley)、シスコのテクニカルリーダーであるオーレ トロアン(Ole Troan)である。モデレータを務めたのは、シスコジャパンの土屋師子生。いずれもIPv6の開発や実装に深く関わっており、この日も様々な裏話が飛び出した。ここでは日本をはじめとする各国のIPv6普及状況と、その背景にある事情にフォーカスし、座談会のダイジェストをお届けする。

IPv6開発をリードした日本が
なぜ実装で遅れているのか

図1 世界のIPv6対応状況

土屋:まずはこの”IPv6 deployment”に関するWebサイト(http://6lab.cisco.com/stats/)をご覧ください。これはシスコのフランスチームが作成したものなのですが、RIRやRouteViews、Alexaランク、Google IPv6 Stat等のデータを利用して、IPv6への対応状況を国毎にグラフィカルに示しています。計測されているデータは、アクティブなIPv6プリフィックスの割合、トランジットASのIPv6対応割合、コンテンツ(Webサイト)のIPv6対応割合、そしてIPv6を優先的に利用しているユーザの割合です。
 トランジットASのIPv6対応に関しては、日本は78%と、とても高い数値になっています。

図2 IPv6対応状況 - トランジットAS

川村:ノルウェイも高いですね。

タウンズレー:それはトランジットASが3つくらいしかないからですよ(笑)。

土屋:次にコンテンツですが、これに関しては日本のIPv6の割合はそれほど高くありません。それに対して米国や、ノルウェイは、高い数値です。

図3 IPv6対応状況 - コンテンツ

タウンズレー:ブラジルもそうです。彼らは“Brazil IPv6 Launch”を行ったからです。

川村:インドも数値が高いですね。

松崎:地方自治体に接続する際に、IPv6の実装が求められているからですね。

タウンズレー:スロベニアも高いはずです。

川村:シンガポールも政府がIPv6への対応を義務づけています。これに従わないサービスプロバイダーは免許の更新ができません。

タウンズレー:そのルールの適用はいつからですか?

川村:確か今年の夏からのはずです。免許の有効期間は5年間です。

タウンズレー:なるほど。それでは今後数年間で対応しなければならないわけですね。

土屋:次はユーザです。日本の数値は3%程度であり、あまり良くありません。それに比べてフランスは5%を超えています。

図4 IPv6対応状況 - ユーザ

タウンズレー::6rd (IPv6 Rapid Deployment on IPv4 Infrastructures) を作ったのはフランス人ですからね。特にFree(free.fr)での利用が盛んです。時系列のグラフで見ると、最近はドイツが急速にIPv6の対応割合を上げていて、フランスに次ぐ値になっています。

図5 IPv6対応状況 - 時系列グラフ

川村:10月5日から右肩上がりになっていますが、何かあったのですか。

タウンズレー:フランステレコムとドイツテレコム、ドイツケーブルがIPv6への移行を始めたからです。

松崎:デフォルトでIPv6になるように?

タウンズレー:そうです。

土屋:ここで皆さんにお聞きしたいのは、日本はIPv6に関して先進国であるはずなのに、なぜIPv6対応がそれほど進んでいないのかということです。川村さん、何が問題なのか説明できますか?

川村:インターネット コミュニティの中で何が起きているのか全てを見渡せているわけではないため、限られた知見しかありませんが、私なりの視点から説明することはできると思います。

タウンズレー:重要なのは、開発と実装を分けて考えることです。日本はIPv6の開発に関してはリーダー的存在です。しかしその実装は、開発が進んでいる割には遅れており、むしろ他の国の方が進んでいます。この開発と実装という2つの側面から、説明していただくといいと思います。

IPv6座談会ダイジェスト:世界各国におけるIPv6の普及状況とその背景