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アプリケーションの視点からデータセンターを再定義 シスコがもたらす新たなイノベーション

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2013年11月、シスコは「アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)」の概要を発表した。“アプリケーション中心型のインフラ”とは従来とは大きく異なるネットワークファブリックと、高度に抽象化された管理ソフトウェアを組み合わせたもので、データセンターのあり方を根本から変えてしまう可能性のあるイノベーションである。しかしその新しさ故、理解しにくい側面もある。そこで、今回はACIの中でポイントとなる部分にフォーカスを当て、その本質を浮き彫りにしていきたい。

複数の仮想環境と物理環境の混在で
複雑化している現在のデータセンター

 すでにこれまでにも本誌「inSPire」で指摘しているように、サービス プロバイダーーは新たな収益源を確保するため、ビジネスモデルを拡大すべき局面に来ている。従来のようにコネクションのための“土管”を提供するだけではなく、顧客にとってさらなる価値を提供できる各種サービスを展開しなければならない。これを効果的に行うには、基盤となるデータセンターをどのように構築するかが鍵になる。

 それでは実際に、どのようなことに留意すべきなのか。まず現在のデータセンターが抱えている課題について俯瞰してみよう。

現在のデータセンターネットワークにおける主な課題

現在のデータセンターネットワークにおける主な課題

 データセンターを効率的に運用するには、管理の容易性やプロビジョニングの自動化が必要だ。またサービスレベルを維持し続けるには、パフォーマンスの確保も欠かせない。もちろん問題発生時の対応を迅速に行うには、可視化やトラブルシューティングの機能も求められる。さらに多様な顧客の要求に対応するには、マルチテナントでのスケーラビリティも必要だ。

 現在のネットワーク インフラストラクチャで、これらの要求に十分応えることは可能なのだろうか。極めて難しいと言えるだろう。特にInternet of Everything(IoE)の到来を視野に入れた場合には、不可能だといっても過言ではない。現在のネットワーク テクノロジーは、時代と共に拡張されてきたという歴史を持っており、複数のアーキテクチャが混在し、これらが複数の“サイロ”を生み出しているからである。

 例えばネットワークを仮想化するための技術にVLANがあるが、これは最大4096のセグメントにしか対応していないため、サーバの仮想化を前提としたマルチテナント化には、十分に対応できなくなっている。そのためVXLAN(Virtual eXtensible Local Area Network)やNVGRE(Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation)が登場しているが、これらはハイパバイザ毎に異なるものが採用されており、互換性がない。

 もしデータセンター全体を1種類のハイパバイザに統一できれば、ネットワークの複雑さはある程度まで抑制できるだろう。しかしすでに多くの企業は、複数のハイパバイザを使用してシステムを構築しており、それらのシステムをホストするデータセンターにも同様のことを要求している。そのためネットワークは非常に複雑なものになり、運用負担も増大する傾向にあるのだ。またプロビジョニングの自動化やパフォーマンス確保にも制約が生じてしまう。もちろんネットワーク全体の可視化も難しい。

 これに加え、物理サーバが依然として重要な役割を担い続けていることも、問題を大きくしている。それどころか最近では、ビッグデータ活用の広がりによって、物理サーバの重要性がかえって増しているとも言える。Hadoopのような大規模分散処理フレームワークでは、仮想化されたサーバよりも物理サーバをそのまま使う方が、パフォーマンスを引き出しやすいからだ。仮想環境に物理サーバが混在すれば、複雑さがさらに増大するのは当然の帰結だといえるだろう。

 データセンターの管理者はこのような複雑な環境で、Webサーバとアプリケーションサーバ、データベースサーバを組み合わせたサービスを構成しなければならない。またこれらのサーバだけではなく、ロードバランサーやセキュリティアプライアンスが要求されるケースも少なくない。セキュリティポリシーやQoSの設定も必要になるかもしれない。特定のネットワークパスにトラフィックが集中した時には、他の代替経路を確保するといった対応も求められる。またサーバ障害発生時の冗長性はどう確保するのか。メンテナンスに伴い、仮想マシンのライブマイグレーションを実行した時には、どのように対応すべきなのか。悩ましい問題が山積みなのだ。

 データセンターが扱うアプリケーションの数は今後さらに増大し、これらをいかに迅速かつ安定的に提供できるかが、データセンターの競争力を大きく左右する要因になっていく。これを従来型のネットワークのままで実現することは難しい。ハイパフォーマンスでスケーラブルなネットワークをシンプルに構成できるようにすると共に、アプリケーションの視点からネットワーク全体を抽象化できる仕組みが必要だ。これまでとは異なる新たなアーキテクチャが求められるのである。

 この要求に応えるためにシスコが取り組んでいるのが、アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI: Application Centric Infrastructure)なのである。

アプリケーションの視点からデータセンターを再定義
シスコがもたらす新たなイノベーション