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仮想化技術によるサービス プロバイダー ネットワーク変革とシスコの取り組み〜迅速なサービス展開と運用の簡素化を支援するシスコESP(Evolved Service Platform)とその概要〜

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シスコは、サービス プロバイダー向けに「Cisco Evolved Services Platform(ESP)」を発表した。シスコはすでに新たなネットワーク基盤のあるべき姿として「Cisco Evolved Programmable Network(EPN)」を提唱し、それを具現化するための製品も発表している。Cisco ESPはこのCisco EPNと連携して動作し、ネットワーク価値の最適化、ビジネス アジリティの向上、業務効率の改善といった、サービス プロバイダーが抱える数々の課題を解決する上で、重要な役割を果たす。ここではCisco EPNのビジョンを俯瞰した上で、Cisco ESPのアーキテクチャを解説、サービス プロバイダーにとってのメリットにも言及する。

EPNは俊敏なサービス モデルを支える
第3世代のネットワーク基盤

 サービス プロバイダーのマーケットでは、利用者のニーズに大きな変化が生まれている。まず企業ユーザでは、これまでITに対して行っていた投資をコアビジネスに振り向けたいという要求が強くなっており、ITのコンシューマライゼーション(消費者によるIT活用モデルの導入)も重視、その結果、クラウドモデルへのシフトを加速する方向に向かっている。その一方で消費者は、いつでもどこででもパーソナライズされたサービスをクラウド経由で利用したいという要求が広がっており、一貫性のあるユーザ体験への期待が高まっている。

 このような要求に対応するには、サービス プロバイダーはいくつかの課題を解決しなければならない。まず第1に新たなサービスを迅速に提供できる“俊敏性”を実現すること。第2は増大し続けるオペレーション コストを抑制することだ。もちろん急増し続けるトラフィックへの対応や、複雑化するネットワークの課題解消、新たなイノベーションへのキャッチアップも不可欠になる。これらは全世界のサービス プロバイダーが、共通して抱える課題だと言える。

 しかも競争相手は、他のサービス プロバイダーだけではない。インターネット経由でサービスを提供するOTT(Over The Top)事業者も強力なライバルになる。しかもOTT事業者は、サービス プロバイダーとは異質なモデルで競争を迫ってくるはずだ。彼らは“素早く参入”し、うまくいかなければ“すぐに撤退”するというスタンスによって、極めて高い俊敏性を身につけている。サービス プロバイダーがこの競争で優位に立つには、彼らと同等の俊敏性を確保しなければならないのだ。

 サービス プロバイダーが俊敏なビジネスモデルを実現するには、4つのステップが必要になる。

 まず第1ステップはデータセンターの仮想化だ。ここでリソース プールを用意し、サービス立ち上げを容易にする。第2ステップはネットワーク機能の仮想化。データセンターのリソース プールを利用し、顧客が求めるネットワーク機能を柔軟に提供できるようにする。第3ステップはワークロードのポータビリティを確保すること。求められるサービス内容に合わせて、柔軟にワークロードを移動できるようにする。そして第4ステップが、ダイナミックなセットアップやティアダウン(サービス停止に伴うリソース解放)、プロビジョニングを可能にするオーケストレーションである。

 これをアーキテクチャの視点から見ると、大きく3つのレイヤーが求められることがわかる。SDN(Software Defined Network:ソフトウェア定義ネットワーク)、NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能の仮想化)、オーケストレーションだ。

 シスコはこれらを実現するため「Cisco ONE」というアーキテクチャを提唱。その基盤となるコントロール/データプレーンとして、2013年に「Cisco Evolved Programmable Network(EPN)」を発表している。EPNは、すでに稼働しているIP NGNの強靱さやスケーラビリティ、豊富な機能、セキュリティをベースに、オープン、プログラムによるコントロール、仮想化という要素を加えることで、サービスの俊敏性やシンプルなオペレーション、高付加価値サービスの実現を可能にしたものだ。なおEPNを構成する具体的な要素に関しては「inSPire issue13」で紹介しているので、こちらも参照して欲しい。

 サービス プロバイダーにとって、EPNは第3世代のネットワークだといえる。サービス プロバイダーにとっての第1世代は、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重装置)によるネットワークだ。この頃のネットワークは複数のプロトコルが混在し、柔軟性に乏しく、新たなサービスの提供には制約があった。この状況を変えたのが「IP NGN」によるフルIP化である。しかし第2世代となった「IP NGN」は、サービスのコモディティ化とトラフィックの爆発的な増大をもたらし、サービス プロバイダーの収益を圧迫することになった。このような問題を解決するのがEPNである。サービス プロバイダーのネットワークは、今後急速な勢いでEPNの目指す方向へとシフトしていくだろう。

 そして2014年2月、シスコはEPNの上位レイヤーとなるCisco Evolved Services Platform(ESP)を発表。サービス プロバイダーのモデルシフトをさらに加速する環境を整備しつつあるのだ。

仮想化技術によるサービス プロバイダー ネットワーク変革とシスコの取り組み