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シスコ エンジニアが語るサービス プロバイダー向け SDN/NFV戦略

ボイス中心からデータ中心、そして IoE の時代へとシフトすることで、サービスプロバイダーのビジネスは大きな課題に直面している。新たな付加価値創出による収益向上、オペレーションコストの削減や柔軟性の向上、俊敏性の向上等が求められているのだ。これらを可能にするアーキテクチャとしてシスコが提唱しているのが、Open Network Strategy であり、その中で重要な役割を担っているレイヤーが Cisco ESP(Evolved Services Platform)である。

ここでは、先日開催されたイベント「Cisco Connect 2014」にて行われたセッション「サービス プロバイダー向けSDN/NFV戦略」について、その概要を紹介する。 講演者は菅野 洋之(シスコシステムズ合同会社 サービス プロバイダー事業 EPNアーキテクチャ コンサルティング システムズ エンジニア)。 菅野は講演の中で、この ESP の概要を簡単に説明した後、その中の主要コンポーネントである DSC(Dynamic Services Composer)について解説、さらにこれを活用したユースケースを紹介した。

「ESP はシスコが 2 年前から提唱しているコンセプト。サービス オーケストレーションの自動化によって、俊敏性や最適化、新たな付加価値による収益向上の実現をもたらします」と菅野。モジュラー アーキテクチャ、クロスドメイン オーケストレーションという特徴を持ち、vCPE(Virtual CPE)や WAN 最適化(WAE:WAN Automation Engine))との連携等、ネットワーク全体を考慮した最適なサービスを実現できると言う。またデータセンター内においては、DCN(Data Center Networking)とコンピューティング、ストレージを、クロスドメインでオーケストレーション可能。これを実現するコンポーネントが DSC なのだと説明する。

DSC では物理ネットワークの上にオーバーレイ ネットワークを構成し、その上で個々のネットワーク サービス同士をチェイニングすることで、一連のサービス連携を実現する。アンダーレイヤーのネットワークはどのベンダーのものでも構わない。またチェイニングできるサービスにも制約がなく、ネットワーク サービスを動的に生成し、サービス チェインの任意の位置に挿入することが可能だ。チェイニングを行うメカニズムとしては、vSwitch ではなく独自開発の VTF(Virtual Topology Forwarder)を使用。これによって、マルチテナンシーで異なるトポロジーを収容可能にしていると語る。

それでは DSC の最大のメリットは何か。菅野は「DSC によってサービス展開の敏捷性が飛躍的に向上します」と言う。これまで 30 ~ 90 日かかっていたサービス展開が、最短で数分にまで短縮される可能性があるのだ。サービス展開後もサービスレベルをチェックし、ロードバランシングを追加するなどの拡張・変更が容易になる。またオペレーション負荷も軽減。ユーザー体験の変革も、重要なポイントだと指摘する。

菅野はこの後、DSC の機能概要と DSC を構成するコンポーネントを紹介した上で、DSC で注目すべき 2 つの特徴についても解説。その 1 つは前述の VTF を、ユーザー空間で実現しているということだ。一般的な仮想スイッチは高速化のためにカーネル空間で実行されているが、これでは障害発生時の切り離しが難しく、そのカーネル上で動いている全てのサービスが影響を受けてしまう。これに対しシスコは、ユーザー空間でも 1 コアで 10Gbps を超える高性能技術を開発することで、この問題を解決している。もう 1 つの特徴は、モデルドリブンのアーキテクチャであること。これは買収した Tail-f Systems のテクノロジーを活用することで実現されていると言う。

さらに菅野は、DSC のユースケースとして、CPE に対してクラウドからセキュリティサービスを提供する方法について言及。顧客側の CPE に一切触れることなく機能を展開でき(ゼロタッチ プロビジョニング)、サービスの追加なども自動的に行えるようになると説明する。サービス展開対象の CPE としては、Meraki CPE、Cisco ISR、汎用的な x86 サーバーが利用できると言う。

「実際のこの方法を利用しているお客様のケースでは、78% の OPEX 削減、48 時間以内のサービス創出、5 年間で 200% の ROI を実現しています」と菅野。サービスプロバイダーが直面する課題の解決に、ESP と DSC が大きな貢献を果たすことが示されたのである。

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