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クラウド スケールのネットワーク構築に革新をもたらす
Cisco IOS XR の画期的な最新機能拡張

シスコは 2015 年 11 月、クラウド スケールのネットワーキングのためのソフトウェア ソリューションを発表した。この発表の中にはハードウェア製品のラインアップ追加等、多岐にわたる要素が含まれているが、その本質はサービス プロバイダー向けのネットワーキング ソフトウェア Cisco IOS XR のイノベーションだといえるだろう。ここでは Cisco IOS XR にいかなる変革がもたらされたのか、そしてこれにより今後どのようなネットワーク システムが可能になるのかについて俯瞰したい。

プレーン間の完全分離を実現した
Cisco IOS XR の新アーキテクチャ

 サービス プロバイダーに対する要求は、近年急速な勢いで高度化している。

 まずインターネット上でのビデオ活用が拡大すると共に、フル HD や 4K といった高精細化が進んできたことで、広帯域化への要求が加速している。またインターネットに接続されるデバイスも多様化しており、いつでもどこからでも利用できるユニバーサル アクセスのニーズも高まっている。一方、ネットワーク サービスはコモディティ化しており、差別化が難しい状況だ。その中でもコンテンツ ビジネスは高収益を生み出す可能性を持っているが、この領域では Web サービス事業者や OTT(Over The Top)プレイヤーという、手強い競合がひしめいている。

その結果、サービス プロバイダーのビジネスでは、OPEX(運用コスト)が収益よりも急速に成長し、利益を確保することが難しいという構造になりつつあるのだ。

 差別化可能なサービスをできる限り低い OPEX で実現するには、いったいどうすればいいのだろうか。その 1 つの答えが、ソフトウェア技術の活用だ。ネットワーク機器の各種機能をソフトウェア化することで、ハードウェアから切り離してしまうのである。これによってプラットフォームの柔軟性が高まり、デバイスの拡張やオープン ソース技術との統合が容易になる。またネットワーク機能を上位のソフトウェアから制御可能にすることで、運用の自動化も可能になる。さらにデータ プレーンの機能を仮想化することで、これまで以上のスケーラビリティをより低コストで実現することも可能になる。

 シスコはネットワーク機器の OS である Cisco IOS を、過去の投資を保護しながら段階的に進化させ続けてきた。2000 年には IOS をハードウェアから切り離し、Linux ベースのカーネル上で稼働可能にした Cisco IOS XE をリリース。2003 年にはこれをさらに発展させ、コントロール プレーンとデータ プレーン、マネジメント機能の分離を実現した Cisco IOS XR の提供を開始した。そして最近では、ハイパーバイザーや LXC(Linuxコンテナ)などの仮想化レイヤ上で IOS XR を稼働する Cisco Virtual IOS-XR も実現。ネットワーク機能のソフトウェア化に、大きなイノベーションをもたらしている。

 Cisco Virtualized IOS XR の最も大きな特徴は、従来の Cisco IOS XR が持つコントロール プレーン、データ プレーンおよびマネージメント プレーンが完全に分離している点と、仮想化レイヤの追加により、オペレーション システムがハードウェアへの依存関係を軽減することで、多様なプラットフォームのデータ プレーンをサポートしている点にある。コントロール プレーンの機能は既存の Cisco IOS XR が使用でき、 データ プレーンとしては、x86 プラットフォーム上で仮想化されたものの他、これまでのようにシスコが開発したカスタム ASIC で動くもの、汎用的な商用 ASIC 上で動くものという、3 種類のプラットフォームが利用可能だ。

 2015 年 11 月には、この Cisco IOS XR のソフトウェア機能がさらに拡充された。それでは具体的に、どのような機能が実装されたのか。次のページから具体的に見ていこう。

クラウド スケールのネットワーク構築に革新をもたらす
Cisco IOS XR の画期的な最新機能拡張

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