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ルー・タッカーが語る成長戦略としての OpenStack 活用

〜シスコ OpenStack プライベート セミナー ハイライト〜

シスコは 2015 年 10 月、OpenStack Summit Tokyo 2015 の開催に合わせ、OpenStack に関するプライベート セミナーを行った。ここでは、クラウド コンピューティング担当 VP & CTO のルー・タッカー (Lew Tucker)を初め、シスコで OpenStack への取り組みをリードする 4 名が登壇し、成長戦略としての OpenStack 活用の意義や、OpenStack の導入手法、Cisco ACI との関係などが解説された。本記事では、OpenStack Foundation で副議長も務めるルー・タッカーの講演を中心に、イベントのハイライトを紹介する。

「未来への成長戦略としての OpenStack」
(OpenStack as a Strategy for Future Growth)
ルー・タッカー(Lew Tucker)
Vice President and Chief Technology Officer, Cloud Computing, Cisco
プロフィール
幅広い領域で行われているシスコの OpenStack への貢献

 様々な業界がイノベーションの波によって変革されつつあります。例えば UBER は交通業界、Airbnb はホテル業界、NETFLIX はビデオ配信、Amazon Web Services はリテールの世界を変えてしまいました。イノベーションをスピーディに実現することで、業界にディスラプション(破壊)をもたらしたのです。これからのビジネスでは、このようなイノベーションやディスラプションを、自ら実践していくことが必要です。もし皆さんが他社をディスラプトできなければ、おそらく他社が皆さんをディスラプトすることになるからです。

こで重要な役割を果たしているのがクラウド コンピューティングです。これらの企業はすべてクラウドを介してサービスを提供しています。クラウド コンピューティングはすでに 8 〜 9 年前から存在していましたが、当初はより安価にサービスを提供する手段として評価されました。しかし近年は、動的な形でプロビジョニングを行える点が注目されるようになっています。アプリケーション開発者は自分のアプリケーションに必要なリソースを、クラウド上のセルフサービス ポータルで調達し、アプリケーションを展開できます。IT インフラ担当者にコンタクトする必要はありません。これは非常に大きな変革であり、ディスラプションをスピーディに行えるようにします。

 データセンターのあり方も変化しています。過去のデータセンターは物理的なものだと考えられてきましたが、最近ではソフトウェアで定義されるようになっています。その最大の目的はアジリティ(俊敏性)です。またオープン ソースの活用も広がっています。これによって単一のベンダーにロックインされることなく、幅広い選択を手に入れることが可能になります。さらにサービスをプライベート、パブリックの両方で展開できるようになっており、自由に移動することも可能になっています。パブリック クラウドでアプリケーションを作成し、それをそのままオンプレミスで動かすこともできるのです。

 シスコはこのような世界を作り出すため、OpenStack に様々な形で貢献しています。2011 年 2 月に世界規模の大手企業としては初めて OpenStack のコミュニティに参加し、OpenStack Foundation でも創立時からのメンバーになっています。シスコはもともと、スタンダード ベースの会社です。昔は TCP/IP が重要なスタンダードであり、これを通じてインターネットの成長に寄与してきました。現在ではスタンダードの基盤が、プロトコルからオープン ソースへと移っています。シスコがオープン ソースに積極的に貢献するのは、当然の流れだと言えます。

 それではシスコは具体的に、どのような貢献を果たしているのでしょうか。シスコの貢献は多岐にわたります。

 最近シスコが関与したものとしては、Kolla や Magnum といったコンテナ領域のプロジェクトがあります。コンテナは仮想マシンの代替として、開発者に新たな選択肢を提供するものです。また Neutron でもシスコは大きな貢献を果たしています。シスコはネットワーク分野に対する専門知識を有しているからです。IPv6 や仮想ルータを Neutron の世界に持ち込むといった取り組みを通じて、OpenStack でもシスコのテクノロジーを簡単に使えるようにしています。

 シスコはこれらの他にも、OpenStack に様々なイノベーションをもたらしています。その一例が Curvature です。これは仮想マシンの展開状況を可視化するビジュアライゼーション ツールです。シスコはケント大学の数名のインターンに「OpenStack の効果的な使い方を考えて欲しい」と依頼し、その成果として Curvature が生まれました。AVOS(アナリティクス ツール)や、VMTP(パフォーマンス測定ツール)、グループ ベース ポリシー(GBP)の実現でも重要な役割を果たしています。ポリシー モデルはシスコがこれまで ACI で行ってきたことであり、これを OpenStack と統合できるようにしています。

 またクラウドパルスや Ceph ダッシュボードといった新規プロジェクトにも取り組んでいます。クラウドパルスは心拍モニターのようなものであり、クラウドの健康状態をチェックするために使用します。Ceph ダッシュボードはストレージの状況を可視化するものです。

 OpenStack におけるシスコの貢献を、数字で示したのがこのチャートです。これらの貢献は、ソース コードの中にも残されています。皆さんにもぜひ、OpenStack のソース コードを見ていただきたいと思います。

ルー・タッカーが語る成長戦略としてのOpenStack活用

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