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サービス プロバイダーのビジネス変革を強力に支援
シスコの NFVI ソリューションとアプローチ

〜シスコ バイスプレジデント JL ヴァレンテ インタビュー〜

NFV(Network Function Virtualization)を自社のサービスの中に、どのような形で組み込んでいくのか。これはサービス プロバイダーにとって、重要課題の 1 つだと言える。ネットワーク機能を仮想化することで、サービス提供のスピードを高め、コスト削減を期待できるからだ。シスコはこのようなニーズに対応するため、NFV 基盤 (NFVI) の整備と提供にも戦略的に取り組んでいる。それでは具体的にいかなるアプローチを行い、どのようなソリューションを提供しているのか。今回は「OpenStack Summit Tokyo 2015」の開催に合わせて来日した、シスコ クラウド & バーチャリゼーション グループ バイス プレジデントの JL ヴァレンテに話を聞いた。

JL ヴァレンテ(JL Valente)

VP Cloud & Virtualization Group, Cisco

サービス プロバイダーによる NFV への 3 種類のアプローチ

 現在の市場の中で、サービス プロバイダーが成功するには何が必要なのか。この問いに対して JL ヴァレンテ(以下、ヴァレンテ)は「アジリティ(俊敏性)、スピード、コスト削減」と言う。「現在のサービス プロバイダーは、相手がエンタープライズかコンシューマかに関わらず、顧客に新しいサービスを提供するのに長い時間がかかっています。この時間を短縮し、市場への展開を加速しなければなりません」。

 そのためには自動化が必要であり、その基盤となるのがプログラマビリティであると指摘。これまでひとつの塊になっていた機能を複数のコンポーネントに分解し、これらをオーケストレーションすることが、重要な鍵になると語る。

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 そのための手法として注目されているのが NFV(Network Function Virtualization)である。

 「例えば VPN サービスやインターネット接続サービスを立ち上げて稼働させるのに、現在では 通常3 ヵ月程度かかっていますが、仮想化やクラウドベースの機能を使うことで、これを数分単位で行えるようになります。プロビジョニングをサービス プロバイダーのオペレーションで行うのではなく、顧客自身が Web ポータルで自分に必要なサービスを選択し、これをバックエンドで自動的にプロビジョニングできるようになるからです。もちろんこれによってコスト削減も可能になります」。

 シスコがその中で果たす役割は、仮想化のパワーを活用すると共に、これがサービス プロバイダーにとってシンプルに行えるようにすることだとヴァレンテは言う。これによってサービス プロバイダーは、ロー リスクでこの技術を採用できるようになるのだ。「もともと NFV といった新しい技術には、高いリスクと複雑性があります。これを大規模に導入していくには、信頼できるパートナーが必要なのです」。

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 もちろん NFV の導入はサービス プロバイダーにとって、技術面でもビジネス面でも、さらにはオペレーション面でも、大きな変革だと言える。そのためサービス プロバイダーは NFV に対し、複数の方向からアプローチしようとしていると、ヴァレンテは指摘する。

 実際に行われているアプローチは大きく 3 種類ある。

 第 1 はオーケストレーション主導型だ。シスコはこのアプローチに対応するため、2014 年に戦略的な買収を行っている。その対象となったのが、ユニークなオーケストレーション技術を持つスウェーデンの会社、Tail-f Systems である。すでに日本でも複数のサービス プロバイダーがこの技術を採用している。

 第 2 はユースケース主導型。ソリューション ベースの取り組みといってもいいだろう。ビジネス向けVPN サービスやモビリティ サービス、メディア、ビデオ、クラウドなどを、フルスタックのアプリケーションとして、オーケストレーションも含む形で 1 つのパッケージにし、そのまま手を加えずに使える状態で顧客に提供しようというものだ。

 そして第 3 はインフラストラクチャ主導型である。このインフラの中には、コンピュート、ストレージ、ネットワーキング、仮想インフラストラクチャの管理(VIM)も含まれる。ボトムアップ型のアプローチといってもいいだろう。

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 実はこれらのアプローチは、シスコの NFV アーキテクチャの構造にも対応している。シスコのアーキテクチャは上図のように、3 階層で構成されているからである。

 まず下位レイヤにはインフラストラクチャがある。シスコのフレームワークでは Cisco Evolved Programmable Network (Cisco EPN) と呼ばれているものだ。ここでシスコは幅広い機能を仮想化しようとしている。その対象としては、利用者の家庭やブランチ オフィス、モバイル デバイスといったアクセス部分から、これらのアクセスを集約するアグリゲーション、サービス プロバイダーの IP ネットワークや MPLS、バックエンドのデータセンター、さらにはプライベート クラウドやパブリック クラウドまでがカバーされている。

 これらのインフラを管理し、プロビジョニングし、機能を保証するには、ソフトウェアのツールが必要になる。これを提供するのが、中間レイヤに位置する Cisco Evolved Services Platform (Cisco ESP)である。

 その上に各種サービスが構築される。ここでも様々なユース ケース向けの多岐にわたる取り組みを進めている。その中には、Cisco Virtual Managed Service (Cisco vMS)、仮想化されたモビリティ、メディア クラウド等が含まれている。

 それではシスコの NFV アーキテクチャは、具体的にどのような機能をカバーしているのか。これは業界標準団体である ETSI(European Telecommunications Standards Institute)の NFV モデルにマッピングすると理解しやすいだろう。

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 ETSI の NFV モデルには様々な要素が含まれているが、シスコはこれらを網羅する形でソリューションを出した最初の企業である。シスコは上の図の青い部分全てを、自社のソフトウェア テクノロジーとして提供しているのである。

 この全体的なオーケストレーションの中で最もユニークなのは、モデル駆動型であることだ。これはシステムに「どのように動作して欲しいのか(How)」ではなく「何をやって欲しいのか(What)」を記述することで、オーケストレーションが機能することを意味している。インフラに何か変更が必要になった場合でも、サービスに関する部分(ベンダー非依存)を変更することなく、その下のレイヤのコンポーネントの変更で対応可能となる。これは物理的なコンポーネントでも仮想化されたコンポーネントでも同様である。

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