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IoT 市場の拡大がもたらすパラダイム シフトと
サービス プロバイダーが成長するためのビジネス戦略

IoT 市場の拡大が、サービス プロバイダーのビジネス環境に大きな変化をもたらしつつある。すでに接続サービスの収益性には限界が見えているといわれているが、IoT が本格化する時代にはその傾向がさらに顕著になるだろう。それでは今後どのような戦略を検討すべきなのか。本記事では、いくつかの調査データを紹介しながら、サービス プロバイダーが「IoT プロバイダー」への変革を成し遂げ、IoT の市場機会を捕捉するためのビジネス戦略について考えたい。

IoT 市場の拡大がもたらすビジネス環境の大きな変化

 IoT(Internet of Things)を活用してビジネスを変革していこうという動きが、急速な勢いで進みつつある。例えば製造業では、製造装置や製品そのものにセンサーを取り付け、稼働情報を収集することで故障が生じる前にメンテナンスを行うという事例が、すでに複数登場している。小売業では商品の動きを把握して品出しを最適化したり、顧客動線の分析を店舗レイアウトに活かそうという取り組みも始まった。農業のように IT 化が遅れていると考えられていた領域でも、IoT 活用の事例が次々と登場するようになっている。IoT はあらゆる領域に、パラダイム シフトを起こしつつあるのだ。

 このような動きはサービス プロバイダーのビジネス環境にも、大きな影響を与えつつある。

 例えば AT&T ではすでに、IoT に関する技術開発とビジネス上の差別化を確立するための取り組みを開始しており、この領域で年率 20 〜 30 %の成長を見込んでいる。実際に同社の 2014 年における「Connected Devices」事業は 21.2 %の成長を果たしており、ワイヤレス ビジネス全体(成長率 9.4 %)の 2 倍を超える成長率を達成している。

  Vodafone の 2014 年における全事業の成長率は 10.1 %だったが、IoT の事業部門は 25 %の成長を達成した。これも全事業の 2 倍以上の成長率だ。

 中国移動通信(China Mobile)ではこの差がさらに大きくなっている。同社全体の 2014 年におけるビジネス成長率は 5.1 %だったが、M2M(IoT)事業は 35 %の成長を達成。実に 7 倍もの成長率になっているのである(いずれも Machina Research 調べ)。

 すでに 2015 年には、全世界で 530 億個のセンサーが出荷されており、毎週 2000 万個のペースでネットワークに接続されている。2020 年までに接続される IoT デバイスの数は、500 億個に達すると見込まれているのだ。

 それでは日本国内における IoT ビジネスの成長について見てみよう。

 上の左側のグラフは今後 5 年間における、日本国内の IoT デバイスの接続形態の変化を予測したものだ(Machina Research 調べ)。現在はセルラー接続が主流だが、今後は低消費電力で広域をカバーできる「LPWA(Low Power Wide Area)」接続のニーズが高まり、2021 年には両者が拮抗することになると予測されている。

 そして日本国内における IoT 市場規模は、2017 年で 1060 億ドル(約 10 兆円)との予測である。当然ながらサービス プロバイダーにとっても、ここには大きなチャンスが存在することになる。

 しかし注意しなければならないのは、この市場規模の中で接続サービスが占める割合はわずか 0.3 %、2 億 9200 万ドル(約 300 億円)程度に過ぎないということだ。

 これはいったい、何を意味しているのだろうか。

IoT 市場の拡大がもたらすパラダイム シフトと
サービス プロバイダーが成長するためのビジネス戦略

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