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IoT 市場の拡大がもたらすパラダイム シフトと
サービス プロバイダーが成長するためのビジネス戦略

新たなビジネス モデルを支えるフレームワーク

 それではこのようなビジネス モデルを実現するには、どのようなフレームワークが必要になるのだろうか。ここで「IoT World Forum SP Working Group」が定義した「SP IoT Reference Framework」を紹介しておきたい。

 まずフレームワークの土台になるのは接続のためのエッジである。ここでは有線、イーサネット、セルラー接続、Wi-Fi に加え、LoRa WAN のような LPWA の提供が求められる。

 これらのネットワーク エッジの上位には、「Fog Platform(フォグ)」が接続される。本誌 ISSUE 23 でも取り上げているが、これはネットワーク側にデータ処理機能を持たせた分散処理環境だ。センサー等のデバイスからのデータを、いったんフォグに渡して処理させるのには、大きく 2 つの目的がある。

 第 1 は、システム全体の処理効率を高め、レスポンス時間を短縮することだ。全てをクラウドで処理するのではクラウドの負荷が過大になる上、トラフィックの経路も長くなるため、レスポンスに時間がかかるようになる。フォグである程度の処理を行い、必要なものだけをクラウドに渡すようにすることで、このような問題を解決できる。

 第 2 はプロトコルの標準化である。多様なデバイスが接続される IoT ネットワークには、多様なプロトコルに基づくデータが流れることになる。これらをクラウドで効率的に処理するには、クラウドに到着する前に必要なデータを集約し、標準的なプロトコルに変換してから渡すのが望ましい。

 フォグの上には「Cloud Platform(クラウド)」が存在する。ここには、データ処理のための機能を提供する IaaS や PaaS に加え、接続管理やフォグ管理、クラウド管理等の機能が必要だ。

 その上に来るのが「Application Enablement(アプリケーション基盤)」のレイヤ。ここには、データ ストレージ、データ管理、データの可視化、データ分析等、アプリケーションのための共通機能を装備しておく。

 そしてこれらの最上位に、各種アプリケーションが位置することになる。もちろん全てのレイヤにおいて、十分なセキュリティを確保することも必須条件だ。

 シスコはこのようなフレームワークを現実のものにするため、ネットワーク接続やフォグ コンピューティング、データ分析、セキュリティ等のアーキテクチャやテクノロジーの開発を積極的に進めてきた。その一方で、2 億 5000 万ドルに上るスタート アップ支援や、パートナーのアイディアやソリューションを実機でデモできるイノベーション センターの設置(日本を含め全世界に 9 拠点を展開)、グローバルなエコシステムの構築、標準化活動への参加等も行っている。例えば LPWA の標準化に関するワーキング グループには主要メンバーとして参加しており、LoRa WAN に関するアライアンスでもスポンサーを務めている。

 また新たに必要となる技術要素を、一貫性のある形でシスコのアーキテクチャに融合していく、といった取り組みも進めている。その一環として行われたのが、2016 年 2 月に発表した Jasper Technologies の買収である。

 Jasper はクラウド ベースの IoT サービスを提供する企業であり、デバイス接続やライフサイクル管理の自動化、リアルタイムでの可視化や制御といった機能を世界規模で展開、IoT サービスの立ち上げや管理、マネタイズを強力に支援している。すでに 27 を超えるサービス プロバイダー グループで標準化され、3500 を超える企業がそのサービスを活用している。

 前述のフレームワークの中では、Jasper のサービスはクラウドの中の「Connection Management」に位置づけられる。これをシスコのアーキテクチャに組み込むことで、フレームワークを整合性のある形で実現しやすくなるのである。

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